2018年9月4日  4回目のこんにちは




 

 

土屋さんと面会のため、約2ヶ月ぶりに拘置所へ(前回の面会は7/11)。

今日は西日本を中心に台風21号上陸のニュースが流れていた。相次ぐ台風の発生。今日(4日)までの発生数は統計が残る1951年以降、過去2番目に早いペースとなっているそうだ。

果たして第何次被害までもたらすのだろうか。西日本各地に住む家族や友人、そして現場で災害支援に取り組む仲間らに安否確認を取りつつ、これ以上被害が大きくならないようにと願うばかりだ。

目の前にある課題に手一杯で、災害に関して何もできない自分に無力感を覚える。

都内でも、強い雨が降ったかと思えば太陽が顔を出したり、はたまた夜には暴風が吹き抜けたりと、気まぐれな天気だった。

先日、お盆を前に面会に向かうも、雷雨に阻まれ断念したことは前回のブログの通り。

今回こそは必ずたどり着きたい、と、私は気合を入れて午前中の野暮用をさっさと済ませ、小菅駅に降り立った。

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5番面会室

青いシャツに半パンのジャージ。足元は相変わらず、青い靴下にスリッパ姿。土屋さんはよく、濃い青の服を着ているイメージが私の中で定着してきた。

彼が着席してすぐ、開口一番に私が

「手紙が届きましたか?」

と話しかけるところから会話が始まる。

彼はそれに答えながら、手元に用意していた私からの手紙を見せてくれた。無事届いたようだ。

ちょうど、この日の朝に、同封した写真も手元に渡ったようだった。

拘置所の収容者宛に写真やポストカード等を同封したとき

①先に手紙のみ被収容者に渡る

②日を置いて、写真等が渡る

と、この二つの段階を踏む。拘置所内の規定か何かは不明。

彼はその写真に目をやった。私は話を続けた。

「私もウユニ塩湖行ってみたいです」

土屋さんは、私が差し入れした世界絶景本から、行ってみたい所として

ウユニ塩湖

を挙げていた。

近年日本人が行きたい観光スポットとして有名だと教えると、少し驚いた様子。

ウユニ塩湖は、彼が逮捕された頃に有名になった世界遺産だろうか?

そんなことを考えつつ、話題は動物本のことに。

どんな気持ちで、動物本を眺めたのか伺うと、

「昔飼っていたハムスターとウサギのことを思い出しました」と彼は言う。

小学校の何学年からか、中学生の終わり頃までゴールデンハムスターとウサギを飼っていたそうだ。

私が思い出したように「小さい時、児童養護施設に居たんですよね?」と聞くと、中学から高校に進学する頃に、少しだけ面倒を見たのだそう。

そのまま話題は土屋さんの過去の話に。彼がいた児童養護施設のことをいくつか聞いた。彼は淡々と答えてくれた。

施設の正式名称、何歳まで暮らしていたのか、どんな所だったか、今の生活と比べてどうか・・・等。

私は質問のスピードが上がってきて、いよいよ彼の過去を掘り下げようと聞き込みかかっていた。彼の声が聞き取りにくくなっていく。その時、私はハッとして聞くのをやめた。

過去のことなど、思い出したくもないはずなのだ。わたしが質問を投げかけている最中、彼の中では、過去の色んな景色が蘇っていたに違いない。

私は、今執拗に聞くべきじゃないと思い、引いた。

結果、知りたかったことの詳細までは聞くことができなかった。学校のこと、事件のこと、質問はいくつも用意してあったにも関わらず。

今はただ、先述したように、彼がどういう思いで世界の美しい景色を見ているのか、生きものに対してどういう感情を抱いているのかなど、内面に在る自然な感情の部分を、もう少し見ていくことにしよう。生身の人間としての彼を。

面会中、過去のことを掘り下げようとしていた段階で、もしかしたら私は彼のことを傷つけてしまってたかもしれない。自分自身の言動に、もう少し慎重にならなければと思わざるを得ない。

私の動向を、土屋さんは感じ取っているのだろうか。面会中、そんなことを感じた場面がいくつかあった。淡々とでも、私の疑問に答えてくれる彼の優しさに、今は甘えたいと思う。

彼の心の扉のドアノブに、私は手を掛けた。決して勢いに任せて一気に開こうとはせず、やさしくノックすることから始めよう。扉の向こうには必ず、問題の解決を示す道が暗示されている、と、僅かな希望を見いだしながら。

 

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