2018年2月23日 五通目




 

2018年2月23日 土屋和也さまへ 五通目

こんにちは。いくらか寒さも緩み、梅のつぼみが春を知らせる季節となりました。拘置所内も少しずつ、極寒から遠のいているのではないでしょうか。

さて、返信が遅れてしまい、申し訳ありません。時が過ぎるのは大変はやく、特に、2月ももう終わりを迎えるというのだから戸惑いを隠せません。日々を大切に感謝の気持ちを忘れずに過ごさなければと気を新たにしているところです。

前回の土屋さんの返信についてですが、漫画の提案がきているとのこと。その後、どうなさるか返事はされたのでしょうか?私個人としては、土屋さんが描く漫画を読んでみたいと思っています。

いろんな作家が小説などで自身の頭の中を文章で表現するように、土屋さんが日々思うことや願うこと、表したいことを絵に込めて描いてみたら良いのではないかと。ひとりでも多くにそれが伝わって、さらに共感者が増えると、発信者である土屋さんも、不特定数の受信者も、お互い心が豊かになる気がするからです。わたしは過去に死刑囚の方々が描いた絵画展に伺ったことがありますが、出展者みなさんお上手で、丁寧にかつ波打つように力強い数々の絵画に胸打たれたのを覚えています。華やかな絵もあり、それにはずいぶんと元気ももらいました。

絵と漫画ではまた違いがありますが、少しでも知識があるのであれば、挑戦してみてほしいと思っています。わたし個人の意見ですので深く考えず、あくまで参考までに。

記念切手を同封しました。お使いください。この『おもてなしの花』シリーズの記念切手が好きで、新作が出るとすぐに郵便局に購入しに走りに行くのです☺︎

ではきょうはここでペンを置きます。

気温は上がって来たというものの、まだ寒さは続きます。春の訪れを待ちわびながら、体調管理には十分お気をつけください。

2018/02/23河内千鶴

 

返信なし

 

返信がはたと途絶えてしまった。

便りを出した同月14日、世間がバレンタインデーに胸躍らせていた日。その日は彼の控訴審判決が高裁で行われた。わたしが初めて彼を目にした日でもある。二人の警察官に連れられ入廷してきた彼は、傍聴席を気にすることもなかったかのように思えた。傍聴席から見る彼は上下灰色のスウェットに身を包み、猫背が目立った。

判決言い渡しは、一時間にも及んだ。栃木力裁判長は「犯行態様は執拗で残虐。社会的影響が大きいことも明らかだ」、「人命軽視の残虐な犯行を2回行っており、一審判決が不合理とはいえない」と述べ、1審の前橋地裁判決(2016年7月)を支持し、被告側の控訴を棄却。つまり、死刑判決。

私はその日のことを触れずに返信をしたのだが、1ヶ月待っても返信が来ない。彼の様子が気になり、再びペンを執った。

 

 

 

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