舞台『パパは死刑囚』




ライター講座の宿題800字


先日、座・高円寺で公演されていた『パパは死刑囚』を鑑賞した。

あらすじに触れておきたい。舞台は結婚式場。新郎の実父が死刑囚であるということから、晴れやかなはずの式は大騒動へと発展する。"パパが死刑囚"だということを知らされた息子が、パパと面会を繰り返していく中で浮き彫りになるあらゆることと対峙する姿が見所である。劇の中で実際に死刑囚のパパは吊るされて死ぬのだが、実はこの芝居、ユーモアを盛り込んだコメディとして作り上げられており、スカッと笑い飛ばせる内容になっているのだ。

本作は"ふざけた社会派"として小劇場の中でもひときわ異彩を放つ、チャリT企画という劇団が開催。劇団員が書きおろす舞台内容は、時事ネタや社会問題などをテーマに置きながらも、"シリアス茶番コメディ"ともいうべき要素に富んでいる。過去に、和歌山毒物カレー事件の容疑者・林真須美の素顔に迫った「12人のそりゃ恐ろしい日本人」や、元オウム真理教信者によって犯された地下鉄サリン事件を描いた「1995」など、死刑を題材にした作品を多く発表してきた。

私が鑑賞した芝居でもやはり、テンポよく進む物語が展開されており、俳優陣の独特な個性から放たれる輝きとセンスが、観るものを笑いに導いた。会場は何度も軽快な笑いに包まれていた。

私は何だか、その空気感が羨ましく思え、目の前で湧き上がる笑いに、少し悔しさも覚えた。"死"と"笑い"は絶対に同居できないもの同士だと思い込んでいたからだろう。同時に、"伝える"とは何だろう、という問いが浮かび上がってきた。

私がどれだけ心を込めて、熱を帯びた言葉で死刑囚のことを書いたとしても、伝わらないことがある。それが"伝わる"に変えられるならば、死刑という重いテーマを取り上げながらも笑わせてくれた彼らに習って、私も少し、多様な考え方を取り入れるべきなのだろうか。本作を鑑賞して以来、ずっと悩み続けていることである。

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