万引き家族〜家族の絆〜




ライター講座の宿題

家族の絆

先月公開されたばかりの映画『万引き家族』。カンヌ国際映画祭最高賞を受賞し、国内外問わず、各界のあらゆる著名人らが絶賛の声を寄せている。監督を務めた是枝裕和氏の『祝意辞退』と『助成金』の一連の出来事、強いては保守層に向けて放ったような「公権力とは潔く距離を保つ」発言に対し、的外れな批判が飛び交う等、さまざまな形で話題を呼び続けている。

この作品の根底に在るものは、『家族の絆』。しかも、『血こそ家族』という根強い風潮を前に、悪行に走ることでしか繋がり得なかった、いわゆる〝落ちこぼれ〟同士の絆を、ひとつ屋根の下で暮らす一家族として描き上げている。度々、戦争映画のテーマにされる、妻子を残して戦場で死にゆく父親の英雄さが美化されてしまうような家族愛では決して無い。私はこの作品を鑑賞し、家族とは何かを考えていた。

『絆』など希薄な現代、人間関係で悩む者が後を絶たない。昨今、学校でのいじめ然り、職場でのセクハラ問題も、繰り返し報道されている。被害当事者たちが声をあげられず、その無力さゆえに自らを死に至らしめてしまうケースもある。また、日本における殺人事件は戦後、減少の一途を辿っているが、その大半は、親族間で発生しているという信じがたい事実も無視できない。それは家族の人間関係の希薄さを象徴しているといえる。

家族の絆の崩壊が決して珍しくはない現代。その事実を目の前に、家族の意味を逆手にとるようにして、深刻な現代背景を写し出す作品『万引き家族』。監督の手加減なしの問いかけは、大きな権力に抗おうとする彼の心の叫びそのもののように思えてならない。家族とは、つながりとは。この定義が不透明化した今、もう一度立ち返って考えたい。

この映画に出てくる人々は、もう私たちの生活のそばに、ひっそりと身を隠しているのかもしれないのだから。

 

 

 

映画『万引き家族』。

多くの人に届きますように。

 

 

 

 

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